セルフビルド読本 基礎知識編

セルフビルド(SelfBuild)という言葉は、実はあまり欧米では使われておらず、どうやら和製英語のようです。無論、外国人に対し、「Self-Build」でも通じないことはありませんが、あちらでは住宅を自作する場合には、Owner’s built(d)ということばをよく使うようです。
さて、本コラムでは言葉の由来をお話するのではなく、セルフビルドとはどんなものかについて、ある程度の知識を持っていただくのが目的です。一口にセルフビルドといってもいろいろな形態があり、どんな工法によって家を建てるかによってもその内容は違ってきます。

 

 

第1章 セルフビルドの基礎知識

 
ログハウスか2×4か

セルフビルドで家を建ててみたいと考えている方の多くが迷うのが、工法として何を選ぶかでしょう。わが国では、2×4工法、ログハウス、ポストアンドビーム、在来軸組み工法、フラードームなどの工法がありますが、一般に入手できるマニュアルの豊富さや素人でも取り組める簡単さを考えると、やはり初めての人にっとっての選択肢はやはりログハウスか2×4に絞り込まれるでしょう。 2×4に使用する材料は、一定規格で決まっていますが、ログハウスは使うログ材によって更にいくつかの種類に分けられ、それは、丸ログ、楕円ログ、D型ログ、角ログ、ラミネートログなどです。丸ログ以外は、ログ材を工場生産の段階で、施工し易いようにプレカットしたもので、角ログやラミネートログは2×4材のように四角い断面をしています。このため施工性は丸ログに比べてかなり改善されますが、ログハウスの持つ味わいのある内外観は薄れてしまうことが多いようです。 2×4とログハウスのそれぞれの長所短所を右表にとりまとめてみました。 ログハウスは、その味わいのある内外観や、木肌に直接触れ合えるやさしさなどから非常に人気が高い工法です。しかし、窓を大きくとれないために、換気がしにくく、また都市部では耐火構造物として認められず、建築ができない場合が多い、などの制約があります。大きな窓をとりにくいというのは、高温多湿の気候をもつ日本の住宅としては厳しい条件であり、湿気による木の伸び縮みは断熱性や耐久性をおびやかすものになりかねません。一方2×4は窓やドアの大きさを決めるためにある程度の規則はあるものの、ほぼ自由な形の窓形状をとることができます。また、耐震性、防火性、機密性、断熱性にも優れます。加えて、構造が簡単で難しい作業が少ないため生産性が高く、工期が短い、品質を維持しやすいなど、現状では素人が最も取り組みやすい工法であるといっても言いすぎではないでしょう。ログハウスでもマシンカットログと呼ばれる角材を使ったもの(上述の角ログ、ラミネートログなど)は、施工も非常にしやすく、素人向けといえるのですが、通気性や耐火性といった基本的な性能は2×4に比べて一歩譲る部分が多く、セトリングといって組んだログが収縮することによる建物の沈下対策も考慮に入れておかなければならないなど素人の方が最初に取り組む住宅としては手間がかかりすぎます。屋根ができあがるまでのログ材の保管管理も大変、ということもあり、資材の管理や工程計画が建てやすい2×4工法に軍配があがるということになるでしょう。

 

 

  長  所

   短  所


2×4

資材が規格化されており、軽い。
施工方法がわかりやすい
ひとりからでも施工できる
耐火構造とすることができる

在来軸組み工法に比べて間取りの自由度が低い。
棟上までに時間がかかる。
窓や開口部に関して一定の制約を守る必要がある

 


ログハウス

味わいのある内外観
健康にやさしい
断熱性が高い
耐久性が高い

2×4以上に間取りの自由度が低い。
棟上までに時間がかかる。
窓を大きくできない
町中では施工できないことが多い

 

2×4でもそれなりの時間がかかる

さて、数々の優れた長所を持つ2×4工法ですが、それでも家一軒を建てるのですからそれなりの時間はかかります。それでは、2×4工法の工期とはどのくらいかかるのでしょうか。日本の標準的な住宅の広さといわれる35坪(115.5m2)の場合、大工二人でおよそ50日が標準といわれています(基礎工事は別)。ということは専門家の大工さん一人で作業をしても100日かかるということです。仮に、週末の土日だけ作業ができるとすると、年間で約50日ですから、専門の大工さんでもおよそ2年かかってしまいます。ましてや素人の我々が作業をするとなると、馴れない、わからないことも多く、これまで家を自作した方の中には3年も4年もかかった人が多いようです。「自分の家は自分でつくる」といった理想を掲げてセルフビルドははじめたは良いが結局すべてを自分で仕上げることができず、泣く泣く業者にあとを任せた、という例は 案外と多いと思われます。 おそらく、セルフビルドで自分の家を建てたいと考えている人の多くには二通りの動機があると思われます。そのひとつは「安く家を建てたい」であり、もうひとつは「自分の納得のいく家を趣味として建てたい」ではないでしょうか。このうち、趣味の延長としてセルフビルドを始めた人にとっては、これはもう自分の楽しみの時間が永遠に続くわけですからたとえ3年かかろうが5年かかろうが、かまわないわけです。しかし、サラリーマンをやりながら限られた時間の中で、ある程度の趣味性も確保しつつ、できるだけ安く短時間に仕上げたいと考えている人達も多いと考えられます。そういう人たちのためにセルフビルドハウス、あるいはキットハウス、セミセルフビルドハウスなどの名前でフビルドと呼ばれるものです。これらのサービスは、素人が施工する上では大きな危険が伴う、フレーミング作業(壁を作って建て起こす)や小屋組み(屋根の部分をつくる)の大半を施工業者が行い、比較的危険の少ない残りの外装の一部分や内装部分をセルフビルドで施工するというシステムです。先ほどの35坪の住宅の場合、土台の施工から上棟まで一般的には大工二人で18日、一人では36日かかるといわれていますが、この部分を工場生産したパネルなどを現場に持ち込んで一気に仕上げるのです。これにより工期は約三分の二に縮小されることになります。また、外壁や屋根や窓など雨露をさけるための工事はすべて終わっていることになり、上下水道や電気の一部の施工を優先して行ない、一定の居住部分を確保すれば、住みながら残りの作業を続けることができます。残りの作業は危険が少ないといっても、フローリングや壁・天井張り、設備設置をはじめとして数多くの作業が残っており、これらの部分で自分の趣味性を発揮することもできます。また、なんといっても工期の約三分の一を縮小しているわけですから、工費もそれだけ節約できるわけであり、使用する材料も自分で選んで注文することにより、業者に搾取される中間マージンも少なく済むわけで、発売各社毎に格差はあるでしょうが、すべて業者に頼むよりも最低でも20〜30パーセント内外の工費節約になるはずです。

セルフビルドの種類

さて、ここでセルフビルドにはどんな種類のものがあるか再整理しておきましょう。色々な分け方はあると思いますが、大きくわけて3タイプになると思われます。

フルセルフビルド

文字通り、すべての部材を自分で準備して、建て方(壁や屋根をつくる)から内外装も自作することをさします。設計も自分でやるとなると、専門的な勉強も必要になり、やはり時間はかかります。しかし、自分の家を自分でつくることのできたあとの爽快感は他のなにものにも比べようがないものです。すべて自分が手配し、人件費も自分だけの分しかかかりませんから、当然総費用も安くなります。通常の住宅コストは半分が人件費といわれていますから、すべて自分でやれば半分の金額で済む、という算段です。しかし、やはり時間はかかり、100m2内外の住宅を作るためには、短くても1年はかかると思われます。人によっては3年かけて作ったというお話も聞きます。

ハーフビルド(セミセルフビルド)

2×4工法の場合、壁を作ってそれを組み立てていくという単純な工程であるため、この壁を工場でパネル生産し、現場に搬入して重機などで一気にくみ上げてしまうこともできます。大きさにもよりますが、棟上(屋根の下地合板張りが終了するまで)までに1〜2日もあれば十分です。メーカーによっては、壁と屋根ができあがるまでをサポートし、あとはユーザーに作業してもらうという形のセルフビルドもあれば、棟上のあと、窓を取り付け、屋根や外壁材の取り付けまで行ってから引渡し、というものもあります。当社におけるハーフビルドシステムは基本的には後者ですが、ユーザのご希望によっては外壁作業は省かせて頂くこともできます。

オーナービルド

オーナービルドというのは、本来はセルフビルド全体を指す英語ですが、わが国ではある住宅メーカーがオーナー主体の分離発注方式をこう呼んだことから、この呼び名で普及しつつあります。どういうことかというと、当社が発売しているようなキットハウスは、ユーザーがその材料だけを仕入れ、自分で組み立てるのではなく、施工業者を自分で選択して建ててもらう、ということもできるわけです。元締めの業者が複数の施工業者に作業を「分離」して発注するため、分離発注方式と呼ばれてきました。元締め業者は家のそれぞれの部位の施工作業毎に材料と施工業者への発注をコントロールすることで全体のコストを統制するため、工程管理もしやすくなります。なーんだこれまでの請負とかわならいじゃないか、と思われるかもしれませんが、これまでの請負住宅と大きく違う点は、元締め業者が購入する資材の選定や施工業者の選定を逐一オーナーに報告し、オーナーの了解のもとに作業を進める、という点です。これまでの住宅請負の現場の多くでは、資材の流通の部分がとかく不透明になりがちであり、施工業者との癒着もあって中間マージンが搾取されやすく、「オーナー不在」の家作りであったといっても過言ではないでしょう。これが日本の住宅価格が高くなりすぎている原因でもあり、これをできるだけ解消し、適正な価格で住宅を流通させようというのがオーナーズビルドという新しい試みです。 一方、部材の購入はキットではなく、すべて自分で選択購入することも不可能ではありませんが、専門的な知識や仕入れルートを持っていなければ難しい問題です。オーナービルドが成立するためには、ユーザーに代わって、設計から材料の仕入れ、業者の選定、施工管理までを一括して請け負う介在者が必要です。無論、介在にあたっては設計料や手数料がかかりますが、全体価格の統制によって費用はかなり安く収まるはずです。例えば、ユーザーがもっともお金をかけたいのは一般的には内装です。ところが悪質業者によってはユーザーが知らないことを良いことに、内装材は発覚しない程度に安ものを使い、必要でない部分に高い部材を使うことで儲けることもできるわけです。良心的な業者であればこうしたことは少ないでしょうが、あなたが選んだ業者がもしそうした悪質業者であればその損害は計りしれません。 良い家をつくるにはユーザーも勉強しなければなりませんが、業者側も一方的な家づくりを押し付けるのではなく、お客さんにある程度の専門知識を持ってもらった上でお手伝いをする、という形態をとらない限り業界の発展はありえない、ということをそろそろ理解し、業態を変えようし始めています。


 

第2章 2×4工法の基礎知識

在来工法と2×4の違い

わが国の伝統的な工法、在来軸組工法による家づくりと2×4工法を比べたときの根本的な違いとは何でしょうか。それは施工ルールの違いであると当社は考えています。在来工法による家づくりは設計図書の基本的な構成は踏まえつつも、むしろ担当大工の施工経験や流儀などに基づいた施工ルールによって、梁・桁・継手・仕口などが決定されるという中で行われています。極論すれば同一の設計図書でも、3つの工務店に施工を任せれば三者三様の家ができあがってくるわけです。これに対して2×4工法では、施工ルールはもちろん、梁や桁の長さ、継手・仕口の形式までも細かくマニュアルで定められていて、異なる工務店に頼んでも設計図が同じであればほぼ同じ家を完成することができます。このことは、2×4工法の構造そのものが単純ということにもよりますが、それぞれの国での家づくりに対する考え方の違いによるものだと考えられます。すなわち、もともと材料費が高く人件費の安い日本で発達した在来軸組み工法は、手間暇は惜しまず材料を惜しむ工法として発展してきたのに対し、2×4工法は、材料費は豊富にあり、相対的に手間賃の高い先進国で発達してきた工法です。手間賃が高ければできるだけ作業工程は短く効率的にするほうがよく、技能の違った大工でも同じ仕上がりが期待できるよう構造や作業手順を明確に示す必要があったわけです。一方、日本の在来工法では、貴重な材料をできるだけ捨てないようにし、そのためには多少の手間暇がかかっても良いという発想に基づいた工法といえます。つまり複雑な加工技術が必要となり、多数の技術が競うようにして発達してきたため、これらを統一し体系づけたマニュアルが発達しにくかったということがいえます。実はこうした技術の発展のしかたが今も日本の住宅を高くしている理由のひとつです。昔は安かった人件費も高度成長期をすぎたあたりから世界でも類をみないくらい高いものになり、家一軒を建てる費用に占める大工さんの人件費は相当なものになっているというわけです。日本もかつて2×4工法が発達してきた北米と同じように、輸入材料は豊富にある一方では人件費は高いという状況になってきており、そうした事情に見合った家づくりにそろそろ転換すべき時代に入ったといえるのではないでしょうか。

 

2×4工法はマッチ箱と同じ構造。

マッチ箱のそれぞれの面は単純な壁であり、この壁を組み合われて大きな箱をつくる。

このマッチ箱は6面がしっかりかみ合い、けっしてゆがむことはない。

 

2×4工法の基本

このホームページでは、素人の方がいかに短期間に手間をかけずに2×4住宅を建てられるか、ということをテーマにしており、このための建築工法として2×4は最適なものと考えています。以下では2×4工法に関する基礎知識について簡単に述べておきましょう。 2×4工法は、もともと19世紀初めのアメリカの開拓民が自分たちの家を自分たちの手で建てるために作り出された工法です。原形となったのはこの開拓民がつくったバルーン工法(土台から2階まで通した柱に、床、壁を取り付けてゆく工法)と呼ばれるものです。日本にバルーン工法が伝わってきたのは明治の初めで、北海道にある札幌時計台がこの工法で建てられています。その後、20世紀の初めからの合板の量産化に伴い、バルーン工法に比べより合理的なプラットフォーム工法と呼ばれるものに変わっていき、現在の2×4工法の原型となりました。現在でも2×4工法のことをプラットフォーム工法と呼ぶのはこのためです。 わが国では正式には「枠組み壁工法」と呼ばれています。一方これまでの日本の住宅の多くは「在来軸組み工法」と呼ばれる工法で建てられています。在来軸組み工法は、コンクリート基礎の上に木の土台を置き、その上に柱と梁の木材を軸組みに組み上げていく工法で、柱や梁の位置や長さを任意に決めることができるため、設計や間取りのデザインが比較的自由に設定でき、開口部を大きくすることもできます。変形敷地や傾斜地など制約のある敷地にも対応でき、増改築への対応性にも優れています。半面、設計者や職人さんの技術によって性能に差が出やすいともいえます。また、素人が建てるにはちょっと難しいため、在来工法を用いて自分で家を建てようなどという人はこれまではほとんどいませんでした。ところが2×4住宅は素人でも建てられるといいます。何故でしょう。それは、軸組み工法が、その名の通り柱を組み立てて家を構成していくのに対し、2×4工法では、いきなり壁を作って壁と壁を組み合わせていく方法で立体になっていくため、柱が必要ないためです。柱がないと何故簡単化って? 考えてもみてください。柱と柱をつなぐには横材(はり)が必要です。はりと柱をつなぐには?釘だけではしっかりつながりません。必ず柱とはりにほぞを作って、双方がしっかり固定されるよう工夫が必要です。こうした木材の加工には熟練が必要であり、これが素人には軸組み工法は難しいといわれる理由です。 一方、2×4工法はどうでしょう。マッチ箱を想像してください。この工法でつくる家はマッチ箱のような箱構造をしています。マッチ箱のそれぞれの面のような壁を組み合われて大きな箱をつくるようなものです。このマッチ箱は6面がしっかりかみ合い、けっしてゆがむことはありません。ゆがまないだけでなく、以下のようなたくさんの長所を持ち合わせています。

       

・耐震性、防火性、気密性、断熱性に優れる

・生産性が高く、工期が短い

・構造が簡単なので難しい作業が少ない

・品質が一定 ・自由な仕上げ材が選べる

・素人が取り組みやすい

 

ここでは、2×4工法とはどういう家の建て方なのかを簡単にご説明しましょう。その建設では、在来工法のように「柱」を立てていくのではなく、床と壁を作って、これを接合することで大きな「箱」を作るのだと考えればわかりやすいでしょう。工程は以下のように単純です。

 

@基礎をつくる

A基礎の上に1階の床をつくる

B壁を作って1階の床の四面にこれを建て起こす

C1階の壁組みの上に2階の床(1階の天井)をつくる

D壁を作って2階の床の四面にこれを建て起こす

E2階の壁組みの上に屋根部分を組み立てる

 

2×4の建築は骨組み(フレーミング)からはじまります(基礎の打設はすでに終わっていると仮定)。フレーミングは基礎の上に土台を作るところから始まります。この土台の上に、床を組んで、その上に1階の壁を立ち上げ、次に2階の床(1階の天井)を組みます。次いで2階の壁組みを行い、その上に屋根の骨格である、小屋組みを作ります。小屋組みの上に屋根の下張り板を張れば、これで一応2×4工法の躯体フレーミングは終了です。 一般に、35坪程度(延べ面積116m2)の住宅では、土台の施工から小屋組みの下地張り終了までは、大工2人で8日(述べ16人日)かかるといわれています。当社-キットのForest Sはこれより少し小さい100m2程度ですから、ひとりで作業をすると、計算上は2週間程度で終了することになります。しかし、実際にははじめて家を建てられる人がほとんどと考えられますから、 最低でも一ヶ月くらいはかかると考えておいたほうが無難でしょう。

小屋組みの種類

上では、2×4住宅がどうやって立ち上がるかについて述べましたが、2×4工法の大きな特徴として、床や壁を組んだあとに最後に屋根をつけるということがあげられます。この屋根を組み立てることを「小屋組み」といいます。小屋組みとは、屋根を支える骨組みのことで、通常、たるき・むなぎ・天井根太・屋根張りなどの構造材(2×4材)と屋根下張り材などの面材(構造用合板)で構成されます。通常は、たるき方式、屋根張り方式、トラス方式、束建て方式などがよく使われますが、屋根面の勾配をほとんどなくした陸屋根や片流れ屋根で小屋組みが作られることもあります。 各方式の特徴を以下に簡単に述べておきましょう。

@たるき方式  たるき、むなぎ、天井根太により、三角形の最も単純なトラスを構成する方式です。屋根の重さは外壁が負担しますが、天井根太がトラスの下弦材として存在することが前提です。このため、2階にはフラットな天井ができることになります。

A屋根ばり方式  その名の通り、梁(屋根ばり)とたるきによって構成する方式です。たるきの重さを、屋根ばり・耐力壁などによって支える方式のため、たるき方式のように天井根太が必要ありません。2階天井を設けなくても良いため、吹き抜け感覚の式部屋にすることが可能になります。

Bトラス方式  たるき方式と同じようにトラスで小屋組みを構成しますが、部材をガゼットと呼ばれる板でつなぎます。上の2方式は構造が単純なため現場で組みたてられることが多いのに対し、トラス方式はやや複雑なため、工場で製作し、現場で組み立てます。本キットも工期を短縮するためこの方式を用いています。

C束建て方式 在来の軸組み工法で通常用いられる方式です。その名の通り、束を立っててたるきと屋根張りを支えます。プレカット(工場であらかじめ加工)してある場合には比較的容易に組み上げることができますが、自分で現場で組み立てるのは現実的ではないでしょう。

D陸屋根、片流れ屋根  陸屋根、片流れ屋根とも屋根ばり方式の変形ですが、陸屋根の構成は基本的には床組みの構成と同じです。いわば特殊な屋根ですから一般の家では使われるケースも少ないようです。とはいえ構成が難しいわけではなく、詳しく述べている専門書もありますので、興味ある方は勉強してみてください。  

さて、いったいどれが一番簡単にできるのでしょう。結論から言うと、屋根ばり方式は天井材を省いて吹き抜け気分の二階を作れるなど、住宅としてのメリットが高い分、太い梁を作ったり、これを支持する支持材やたて枠もしっかりしたものを作る必要があるなど、やや素人には難しいかなと思われます。たるき方式も高所で作業するという点は屋根ばり方式と同じくなかなか難しい面もありますが、天井根太を足場として使え、棟木もそれほど大断面にする必要がないため、少ない人数で作業する上では取り組みやすいでしょう。トラスは工場生産が普通であり、素人が取り組むには少々骨が折れるでしょう。

 

 

 

2×4の建築工程

日本の一般的な住宅の広さは30から35坪(100〜115m2程度)といわれます。それでは2×4住宅を一軒立ち上げる場合、いったいどれくらいの時間がかかるのでしょうか。我々が得ている情報によれば、35坪程度の2×4住宅では、基礎の作成からフレーミング、内装の仕上げまででは大工2人でおよそ50人日かかるようです。つまりひとりですべての作業をすると最低でも100日はかかることになります。のべ床面積100m2の家をたてるとして、この大きさに換算すると約85日になりますが、これは本職の大工さんが作業を行った場合の作業日数であり、素人である我々が行えば当然これよりも時間はかかるでしょう。下の工程表はあくまで目安として示したものであり、実際の作業を行う場合にはもう少し余裕をもった工程を考えるべきです。ただし、基礎工事は専門業者に委託し、ハーフビルド形式で建てる場合には、外壁を貼る作業からスタートすることができます。この場合の作業日数はおよそ40日程度は短縮でき、残る45日をふたりで作業するならば1ヶ月程度で完成することも不可能ではないでしょう。なお、下の工程例では設備配管も自分でやることになっていますが、電気やガスの配線・配管は資格を持っていない限りは自分ではできません。自分でできるのは配線や配管を通すために壁や床に穴を開けたりする作業が主であり、あとは専門業者に委託 することになります。

総費用 〜いったいいくらかかるか

下表は、延べ床面積100m2の住宅を建てるために材料をすべて自分で入手した場合どの程度の総費用がかかるかを試算した例です。内装はすべて木質系のフローリングや羽目板とし、外装はメタルサイディング張り、窓ガラスも主要な居室はすべてペアガラスとしており、一般的な感覚では中の上程度の住宅だと思います。単価は我々がホームセンターなどで調べてきたものですが、内装材や住宅設備の一部はメーカーのカタログから拾ってきたものであり、またサッシはガラス屋さんから見積もりとった場合の一例です。従ってこれらについてはやや高めの設定になっていますが、これらを更に安くするためには、複数の業者から見積もりをとってできるだけ安いところを選ぶと良いでしょう。とくに内装材や住宅設備はピンからキリまであり、自分の感覚にあった比較的リーズナブルなものを選ぶのがコツだと思います。最近のホームセンターでは大量に仕入れることでかなり安い値段の資材を売っており、うまくいけば、建設業者向けの卸値価格にかなり近いものが入手できると思います。とくに内装材や設備はホームセンターのセールなどでかなりの安売りをしている場合がありますので、そうした機会をのがさず、まとめて購入するとよいでしょう。この積算例では総額が800万円超になりましたが、それでもメーカーや工務店を相手に材料を仕入れる場合よりもかなり安くなっているはずです。この表で示した数字をもとに、お近くのホームセンターでの販売価格やガラス店からの見積もり価格とを比較してみると良いでしょう。なお、下表では基礎にかかる費用は含まれていません。地域差もありますが、一般的には1平方メートルあたり1.5万円前後だと思われ、一階床面積が50m2程度の家ならば、75万円程度が目安になります。このほか表には、基礎工事の費用や照明や蛇口、給排水の配管などの細かい設備資材は入っていません。基礎工事はなんといっても住宅の基盤になるものですから、専門業者に依頼したほうが無難といえますが、その他のものは、最近はたいがい、ホームセンターで簡単に手に入りますので、自分で購入するか、電機屋さんや配管屋さんに工事と一緒に見積もりを依頼するとよいでしょう。

 

    仕様1 仕様2 仕様3  数量   単位  単価 合計   入手先  
                       
構造用部材 2×4部材 土台 PG(404)   0.5346 m3 66000 35284   HC  
    SPF部材 SPF   16.7244 m3 46400 776012   HC  
                       
  構造用合板 1階床材 ラーチ 3×6 t15(サネなし) 30 1800 54000   HC  
    1階壁材 CSP 3×8 t9.5 46   1800 82800   HC  
    2階床材 ラーチ 3×6 t15(サネなし) 39 1800 70200   HC  
    2階及び小屋裏壁材 CSP 3×8 t9.5 57   1800 102600   HC  
    小屋床材 ラーチ 3×6 t15(サネなし) 14 1800 25200   HC  
    屋根材 ラーチ 3×6 t12(サネなし) 52 1265 59800   HC  
    スペーサー           22145   HC  
                       
  接合用金物       1   13552   HC  
  基礎パッキン KPA-10     205   170 34850   HC  
  その他材料 接着剤ほか     1   76820   HC  
        1   114210   HC  
                       
                小計 1467473    
                       
サッシ 玄関ドア 873×2330     1   258000   某ガラス店見積価格
  トイレ窓※ 730×943 単板ガラスルーバー   1   33000   某ガラス店見積価格
  浴室窓※ 1185×942 単板サッシ   1   19000   某ガラス店見積価格
  洗面所窓※ 730×943 単板ガラスルーバー   1   33000   某ガラス店見積価格
  洋室-LDK窓※ 1640×2045 複層ガラス FL3+6+FL3 2 69180 193000   某ガラス店見積価格
  納戸窓※ 405×943 単板ガラスルーバー   1   27000   某ガラス店見積価格
  LDK窓※ 730×2045 複層ガラス FL3+6+FL3 1   94000   某ガラス店見積価格
  LDK窓※ 730×943 複層ガラス FL3+6+FL3 1   48000   某ガラス店見積価格
  キッチン窓※ 730×2045 複層ガラス FL3+6+FL3 1   102000   某ガラス店見積価格
  キッチン窓 730×943 ダブルガラスルーバー   1   53000   某ガラス店見積価格
  階段室トイレ窓※ 730×943 単板ガラスルーバー   2 24280 67900   某ガラス店見積価格
  寝室・子供部屋窓※ 1640×1243 複層ガラス FL3+6+FL3 6 35205 295000   某ガラス店見積価格
  ホール窓※ 1640×1845 単板ガラス   1 31720 44000   某ガラス店見積価格
  ロフト窓※ 730×793 単板ガラス   2 10885 30000   某ガラス店見積価格
  ひさし       1   13000   某ガラス店見積価格
  ベランダ ベランダバー手摺+笠木     1   105000   某ガラス店見積価格
  網戸(上記※印窓)       21   156000   某ガラス店見積価格
                小計 1570900    
                       
                       
外壁材 サイディング メタルサイディング     160 m2 2500 400000   HC  
    出隅     10 セット 1952 19520   HC  
    胴縁 18×36×300   300 227 68100   HC  
    透湿シート 160m2分   4 4500 18000   HC  
    コーキング 480m分   30 930 27900   HC  
    目地     20 セット 1500 30000   HC  
    水切     20 650 13000   HC  
    スターターRF     20 780 15600   HC  
    破風板180 無塗装品   16 2200 35200   HC  
    軒天ケイカル板 平板 5mm 3×6 10 730 7300   HC  
    軒天ケイカル板 有孔 5mm 3×6 2 1180 2360   HC  
                小計 636980    
                       
                       
内装材・一部設備 断熱材 グラスウールF☆☆☆☆ 100mm(5坪入)   5 5100 25500   HC  
    グラスウールF☆☆☆☆ 50mm(10坪入)   5 5100 25500   HC  
  石膏ボード プラスターボード 12.5mm 3×6   100 410 41000   HC  
    プラスターボード 12.5mm 3×8   160 540 86400   HC  
    プラスターボード 12.5mm 3×9   8 610 4880   HC  
    防水ボード 12.5mm 3×6   4 640 2560   HC  
    防水ボード 12.5mm 3×8   16 1020 16320   HC  
  天井材 下地吸音テックス     36 2440 87840   HC  
  床材       42 ケース 12800 537600   HC2割引
  壁・軒天・天井材       30 ケース 10540 316200   HC2割引
  階段セット       1   150480   HC2割引
  階段廻り部材       1   54480   HC2割引
  造作材 調整窓枠20点、幅木・回り縁等     1   369920   HC2割引
  その他建具 内装ドア11点及びそのドア枠ほか取り付け用品     1   538640   HC2割引
                小計 2257320    
                       
                       
設備(一例) クローゼット       1   170400   HC2割引
  玄関収納       1   90480   HC2割引
  システムキッチン 組み立て費込み     1   618000   HC2割引
  洗面台       1   120000   HC2割引
  ユニットバス 組み立て費込み     1   672000   HC2割引
  小屋裏用はしご       1   22400   HC2割引
  トイレ       1   80000   HC2割引
                小計 1773280    
                       
                       
屋根部材 カラーベストほか屋根材 アスファルトルーフィング、 軒先水切、ケラバ、 棟包込み含む 78.9 m2 2500 197250   HC  
  角樋     13.6 m 2450 33320   HC  
  たて樋     24.8 m 1450 35960   HC  
  集水器       4 ケ所 3340 13360   HC  
  通気用土台水切       34.9 m 1000 34900   HC  
  土台水切       34.9 m 670 23383   HC  
                小計 338173    
                       
部材のみ合計                 8044126    
                       
その他                      
  サッシ等取り付け調整       24   4000 48000   ガラス店  
  足場組立て・リース       100 m2 1000 100000   リース店
  金物板金加工       1   100000   町工場  
                小計 248000    
                       
その他合計計                 248000    
総計                 8292126    




 


第3章 家と土地に関する基礎知識

ひとくちに土地と家といっても、色々な形態のものがあります。本HPをごらんの方の中には郊外に別荘を持ちたいと考えられている方も多いと思われることから、ここでは主に田舎などの土地に別荘を建てられる人のための法律知識についてひととおりのことを述べたいと思います。更にセルフビルドで住宅を建てる方は電気や水道・ガスなどの設備をどうするかについて不安をもっていらっしゃる方も多いことから、セルフビルドを行うときに、法律的にはどこまで素人ができるか、ということについても記述しておきます。ここに書かれていることを一通り読めば、すべてとはいいませんが、家づくりに関するおおまかな法律知識は持って頂けると思います。

 

1.土地に関する基礎知識

家が建てらるのはどんな土地?

まず、人が住居として住む家が建てられる土地を一般的には宅地といいますが、こうした宅地の大半は都市計画区域内にあります。田舎物件の大半は都市計画区域外、つまり都市計画そのものを施工していない区域にありますが、こうした区域で実際に家が建てられるのは、山林や原野、農家の宅地などがほとんどです。このほかはほとんどが農地ということになりますが、日本では農地法によって農地を宅地に転用することが厳しく制限されており、宅地や山林と違って勝手に売り買いができません。農地を宅地として使うためには、農地の転用といって、「農地法」という法律に基づき、もともと農地として使っていた土地を宅地として使ってよいという許可を行政からもらう申請をします。この転用手続きは地元の農業委員会というところで「審議」された上で県知事に申請されることになっています。この審議の中で転用が適当でないと判断された場合には宅地として使用することができません。最近は離農する農家も多く転用許可がおりるケースも多いようですが、逆に許可がおりないケースもあるということを覚えておいてください。また、「農業振興地域の整備に関する法律」というのがあって、こちらも農地から宅地への転用許可願いが必要ですが、農地法以上に厳しい法律ですから、めったに転用許可がおりることはありません。こうした農地以外に田舎で家が建てられるのは、農家の人が長年自宅として使ってきた宅地や山林・原野などですが、宅地については、なかなか物件として出てくるものは多くありません。一方、電気や電話、水道、排水路がひけて宅地に転用可能な農地や山林はごく限られており、しかもただの山林と思いきや、「保安林」の指定がかかっていた場合にも家を建てることができなくなっています。また広い山林を入手しようとする場合(計画外区域で約3000坪以上)には「国土法」という法律があり、入手が認められていません。このほか、「自然公園法」内の「特別保護地域」では個人向けの家は建てられないなどの制限があり、これらの法律上の指定状況は登記簿をみただけではわかりませんので注意が必要です。また、都会に比較的近い郊外の山林や原野でもは「市街化調整区域」の指定がなされている場所があり、こうした場所にも家は建てられません。結局のところ都市計画区域外の田舎で家が建てられるのは、地元の人たちが近くに住んでいて水道や排水路の心配のない、集落からせいぜい1キロ以内で、農地法や農振法の対象地域外の土地ということになりますが、こうした土地がそう多くはないことは想像にかたくありません。とはいえ、水脈が豊富な山間部の土地など、人が住める場所も残されているでしょうから、気に入った地域がみつかったら地元の不動産屋さんの助けなども得ながら根気よく探してみるのも良いでしょう。

抵当権が設定されていないか

抵当権とは、もともとの土地の所有者がその土地を担保にお金を借りている場合に設定されている権利のことで、その人が借りたお金を返せない場合には、お金の貸してにその土地が取り上げられてしまいます。実際の田舎物件の取引ではとくに中古の売りや物件を購入するときに古い抵当権が残っている場合などがありますので、登記簿をよくみて確認しましょう。売買取引においてはできれば司法書士を間に入れて、抹消されていない抵当権がないかどうかを調べてもらうほうが安全でしょう。格安の中古物件などはとくに要注意です。

定期借地権とは

定期借地権とは、期間限定の借地権ということで、平成4年から施行された借地借家法に基づくものです。その特徴は、地主側からみた場合、従来の借地権とは違って、契約した借地期間が終了すると、地主側の正当事由や立ち退き料の支払い負担なしに、確実に土地が変換されることにあります。よって地主は安心して土地を貸すことができます。一方借り手の側からすると、従来より少ない費用負担で土地を利用できるようになり、その分、住宅部分に費用を回したり、予定より広い土地を確保することも可能になったわけです。定期借地権の種類はひとつではなく、一般的借地権(50年以上)、建物譲渡特約つき借地権(30年以上)、事業用借地権(10年以上20年以下)などがあります。

一時使用目的の借地

建設工事など、臨時的な設備を配置したりするための一時的な借地で、目的が達せられたら地主に土地を返却します。どのような場合に一時使用の目的と認められるかについてですが、「土地の利用目的」「地上建物の種類・設備・構造」「賃貸期間」「権利金等の授受の有無」といった事情を総合的に考慮して決定されることとしています。従って契約書には「一時使用」である利用目的や事情を詳しく記載しておくことが必要です。都市部における自動車駐車場の賃貸契約なども一時使用目的となります。同じように田舎の農地や山林等についても一時使用が可能ですが、上述のような農地法や、農振法、保安林等々の法律に抵触するような一時使用はできませんので注意が必要です。なお、臨時的な設備等の設置を行うのではなく、農業の見習いをやりたいために田畑を借りる場合もあると思われます。この場合には、「農用地利用権設定」をするのが良いと思われますが、あくまで農業の見習いをすることが目的ですから、そのほかの利用をすることはできません。農用地利用権設定の用紙や説明書は通常、町や村役場の産業課などに置いてあります。

仮登記について

田舎における農地の売買では、「仮登記」をすることがあります。仮登記とは本登記をする条件が整わないけれどもとりあえずその土地を確保しておきたいときに行う手続きで、いわば「つばをつけておく」行為といえます。不動産取引は決済金額も高額なので、通常はまず内金や中間金を払い、残額を払ったときに登記を移転します。ところが、農地を宅地に転用するには行政(知事)の許可が必要になりmさう、その手続きの間に農地が第三者に転売されたり、抵当権が付けられたりする恐れがないわけではありません。そこで中間金支払いの時点で仮登記をしておけば安心というわけです。ただし、仮登記もあくまで「仮」の登記であてって、仮登記さえしておけば安心というものではありません。たとえば、売り主である地主が本登記をする前に死んでしまった場合、仮登記を行う手続きは買い主だけではできませんから、登記手続きが中断してしまいます。地主の相続人が登記手続きの協力を渋った場合には登記ができなくなってしまうこともあります。また、本登記は売主に対してお金を全額支払われた段階で行われますが、売買を仲介したのが宅建業者ではなくあやしいブローカーだったりした場合、買主としてはお金を全額支払ったが、売主にはお金が半分しかいっていなかったいうこともありえます。この場合は当然登記はできません。仮登記はかなり強い権利ですが、将来の本登記を確実にするものではない、ということを肝に銘じておきましょう。

建築工事届け、建築確認申請

一定の大きさ以上の建物を建築する場合には、建築基準法により、建築工事届け、建築確認申請を行わなければなりません。「一定の大きさ」とは、「建築工事届け」は、都市計画区域内では、建築面積が、「建築確認申請」が必要です。、また、都市計画区域外区域においても、特殊建築物(学校、病院、百貨店、旅館やホテル)や木造建築物で3階以上の階があるか、または延べ面積が500m2、高さ13mもしくは軒の高さが9mを超えるものや、木造以外の建築物(鉄骨の倉庫など)で2階以上の階数があり、延べ面積が200m2を超えるものについては建築確認申請が必要になります。田舎の土地にこうした大きな家をセルフビルドで建築する人はいないと思いますので、都市計画区域外区域では、建築工事届けや確認申請はまず必要ないでしょう。但し、「知事が指定する区域内」の条項もありますから、都市計画区域外といえでもそうした指定がないかどうかは確認したほうが良いでしょう。

★まとめ

●家が建てられる土地とは

・宅地大半は都市計画区域内にある。

・都市計画区域外では、山林・原野・農家の宅地がほとんど。

・農地は法律によって勝手に売り買いできない。

・農地以外に田舎で家が建てられる土地は物件としては出てきにくい。

・都市計画区域内では調整地域をつかまされないように注意。田舎の土地では農地法や各種法律の網がかかっていないか注意が必要。

 

●都市計画区域内では、建築工事届けや建築確認申請が必要!

・都市計画区域外でも3階以上の木造建築や、述べ床面積500m2以上の建築物では申請が必要。

・都市計画区域内では、一般的には10m2以上の建築物は建築確認申請が必要。

・建築基準法以外にも自然公園法や、森林法、河川法などで、建築条件が制限される場合があるので注意。


 

2.税金についての知識

田舎の土地や住居を確保するときには、物件の購入代金とは別に、5〜10lの諸費用がかかります。その多くは税金です。また、じっさいに暮らし始めてからも毎年税金はかかります。税制は毎年のように改正されるので、軽減措置などについて最新情報をしっかりしておいたいものです。ここでは住まいの確保の段階で税金がどの程度かかるか、重要度の高いものを中心にまとめました。

住まいの取得に関係する税金一覧

●住宅取得資金の工面中

@贈与税 住宅を取得するときに、親や祖父母、そのほかの人から資金の提供を受けると、贈与税の対象となる。軽減措置がある。

 

●契約を交わすとき

A印紙税 売買契約あるいは建築請負契約時、契約書を作成する際にかかる。実施には印紙を添付する。軽減措置あり。

B消費財 建物の売買代金を支払うときに負担する。土地は非課税

 

●登記をするとき

C登録免許税 土地や住居の取得時、自分の所有であることを明らかにするために登記をする際にかかる。軽減措置あり

 

●不動産取得後

D不動産取得税 土地や住居を取得したら都道府県に申告して納める。軽減措置あり。

 

●所得税の確定申告のとき

E所得税の住宅ローン控除 これは収めるのではなく戻ってくるほう。住まいをローンで購入すると、所得税の税額控除が受けられる。

 

●土地保有後

F固定資産税  土地や住居を持っている人すべてに毎年かかる。 軽減措置あり。

G都市計画税 都市計画茎ない市街化区域に土地や住居を持っ ている人に毎年かかる。軽減措置あり。

H特別土地保有税 一定面積以上の広い土地を取得したり、保有しているときにかかる。

 

●その他 ・登録免許税(保存登記・抵当権登記(住宅ローンを組む場合))   ・不動産取得税 ・固定資産税  ・都市計画税

・特別土地保有税  

・印紙税  

・消費税  

・その他(贈与税など

 

3.設備についての知識

土地 水道やガス、電気にかかる住宅設備については、自作の家づくりに関するどの本でもあまり詳しく述べられていないようです。その理由としては、生活の維持に不可欠なライフラインであるために、その扱いのためには国家資格必要なものも多く、素人にはできない、難しいと判断されているためでしょう。しかし、考えてみればライフラインとはその名の通り、生活を維持するために必要不可欠なものです。正しい知識を持っておけば、地震や家事などの災害にあったときにもあわてずすむだけでなく、家を建てたあとのメンテナンスにも役立ちます。増改築の際にもどこにどんな配管や配線が通っているかを知らなければプランニングに困ります。以下では、あくまで素人の視点から、何をどこまで自分でできるかをテーマとして住宅設備に関する法律知識について述べたいと思います。

水道に関する知識

水道設備についてお話する前に、そもそも水道とは何か、について若干の記述をしておきます。というのも皆さんがお建てになる家に供給される水の種類によっては水道設備に対する接し方も大きく変わってくるからです。 法律上は水道とは以下のように分類されています。

 

●水道法が適用される水道(給水人口101人以上)

○水道事業(不特定多数の人に供給するもの)

 ・上水道(給水人口5001人以上)

 ・簡易水道(給水人口5000人以下)

○水道用水供給事業(水道事業に水を供給するもの)

○専用水道(病院、マンション等における自家用の水道。給水人口100人以上)

 

●水道法非適用水道 (給水人口100人以下)

○小規模水道(給水人口30人以上100人以下、飲用井戸等衛生対策要領適用)

○飲用井戸(飲用井戸等衛生対策要領適用)

 

これからお分かりのように水道には、水道法という法律が適用されるものと、水道法による規定を受けないものがあります。法律の規定を受けるものの中には、いわゆる「上水道」の名前でおなじみの都市に引かれている水道や、主として農村部など比較的人口の少ない箇所に引かれている簡易水道があります。このほか、病院やマンションなどの集合的住宅において給水を受ける人が100人以上いる場合にも水道法の適用を受けます。

一方水道法の適用を受けない水道には、小規模井戸や飲用井戸があります。 水道法の適用を受ける水道の場合、家を建てる敷地まで水道を引いてくるための給水工事は、水道法施行令にしたがって水道布設を行う許可を得た特定の工事業者しかできません。給水工事によって設置される給水装置は、水道水が通る大切なものですから,水が汚染されたり,逆流しないものでなければなりません。このため,一定の資格要件を備えた水道設備技術者(給水装置工事主任技術者)のいる工事業者を指定するわけです。工事指定業者のみが給水装置の工事を行います。工事指定業者は,給水装置の構造や材質等を工事申請で審査を受けて,工事施工の承認を得ます。

工事の施工にあたっては、工事申請の際に手数料が必要となります。(給水装置工事の見積額の100分の3)そして,工事が完成すると,水圧測定や器具等の検査を行います。こうした作業は、工事業者としての資格を持っていない皆さんは行えません。しかし、一旦業者によって敷地まで水を引き、給水装置や水道メーターを設置したあとの配管作業は資格がなくても自分でできます。この場合の作業は給水装置のバルブを止め、水が漏れないようにして行うことになります。

なお、工事を指定工事店でないところに依頼するとその工事は無届け工事となり,給水条例により水を止められたり,過料を科せられます。また工事の費用は施主の負担となります。費用については,使われる材料や給水管の口径によって異なります。一方、水道法の規定を受けない小規模水道や飲用井戸では、水源から水を引いてくる作業は基本的には自前で行えます。ただし、水源の水が飲み水として適しているかどうかの衛生上のチェックを推奨しています。この規定は、厚生省が規定している飲用井戸等衛生対策要領によります。これによると、こうした水道の設置者は、以下のような基準に従い、自ら適正な管理に努めることになっています(本文を簡約・改変)。

 

1.清潔の保持

1) 飲用井戸等及びその周辺にみだりに人畜が入らないように、適切な措置を講じる

2) 飲用井戸等(井筒、ケーシング、ポンプ、弁類、管類、井戸の蓋、水槽等)並びに周辺の点検を定期的に行い、清潔保持に努める。

3) 飲用井戸等を新たに設置するに当たっては、汚染防止のため、その設置場所、設備等に十分配慮する。

2.水質検査の実施

1)使用開始前の検査  設置者等は、飲用井戸等の使用を開始する前に、水道法に基づく水質基準に関する省令「平成年厚生省令第69号」に記載されている項目に関する検査並びにトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等について検査を行い、これに適合することを確認する。

2) 定期の検査  設置者等は、上記省令のうちの指定の項目、並びにトリクロロエチレン等のうち、周辺の水質検査結果等から判断して必要となる項目に関する水質検査を1年ごとに1回以上行うことが望ましい。

3) 臨時の水質検査  設置者等は、飲用井戸等から給水される水に異常を認めたときは、水質基準項目及びトリクロロエチレン等のうち必要な項目について水質検査を行う。

 

上記のような水質の検査を行ってくれる役所は、各地方自治体によって異なりますが、一例として大阪 府では、以下に依頼して水質検査を行うこととしています。

府保健所
府立公衆衛生研究所
市町村水道事業者
大阪府薬剤師会

建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の2台項に基づき「建築物における飲料水の水質検査を行う事業」の登録を受けた者以上のように、水道法の規定を受けない井戸水等を利用する場合には、水質のチェックが必要な点に注意してください。また、井戸に使うポンプと、水道工事者が設置した給水装置とを接続して,同時に使用したり交互に使用することは,水道法で禁じられています。井戸水を使用する場合は必ず別系統にしなければなりません。

さて、水道工事が終わって敷地内に水道が来たら、自前で水道の配管ができることになります。法律の規定を受けずに自分でできる作業です。配管には、給水・給湯のふたつがあります。両方とも通常は13mm径(内径)が使われます。同時に数個を使用したり、二階に蛇口を設けるなど使用水量が多い場合には、口径20mmにしたほうが良い場合もありますが、多くの場合は13mmで十分でしょう。本キットハウスでも13mm径を標準としています。給水用のパイプは通常は塩ビ管を、給湯用のパイプには銅管が使われます。いずれも床下に配管しますが、基礎工事の際にべた基礎の中に埋め込む場合もあります。本キットでは、後々のメンテナンスも考え、基礎工事後に配管するようになっています。水道の配管作業はそれほど難しいものではなく、大きな危険を伴うものでもないため、これ以上の記述はここで行いません。キットで施工される方は、図面を良くみて配管ルートをよく確認してください。

なお、風呂などの給湯設備(ボイラー)と給湯用パイプの接合にあたってはハンダ付けが必要にあなるほか、ボイラー技術者の知識が必要な場合もあります。こちらは有資格者しか作業ができませんので、その接合にあたっては、工事業者とよく打ち合わせをされたほうが良いでしょう。また、ガス風呂の設置にあたっても専門知識を持たず自分で工事をすることは危険ですので、必ず専門家に依頼しましょう。


電気に関する知識

住宅内の電気配線工事は、以下に示すように電気工事士でなければできない工事と工事士でなくてもできる工事があります。

 

(1) 電気工事士でなければできない電気工事の作業(電気工事法規則第2条)

・電線相互を接続する作業 ・がいしに電線を取り付ける作業

・電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く)に取り付ける作業

・電線管,線樋,ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業

・配線器具を造営材その他の物件に固定し,又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は 露出型コンセントを取り換える作業を除く。)

・電線管を曲げ,若しくはねじ切りし,又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他附属品とを接 続する作業

・ボックスを造営材その他の物件に取り付ける作業 ・電線,電線管,線樋,ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に防護装置を取り付け る作業

・金属製の電線管,線樋,ダクトその他これらに類する物又はこれらの付属品を建造物のメタルラス張 り,ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付ける作業

・配電盤を造営材に取り付ける作業

・接地線を自家用電気工作物に取り付け,接地線相互若しくは接地線と接地極とを接続し,又は接地 極を地面に埋設する作業(ただし,第二種電気工事士の場合は,「自家用電気工作物」を  「一般用電気工作物」と読み替える。)

・電圧600Vを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業

 

(2)電気工事士でなくても作業できる軽微な工事(電気工事法施行令第1条)  

次に示す軽微な工事については,本法に定める電気工事から除外されており,  電気工事士でなくてもこれらの工事に係る作業ができることとなっている

・電圧600V以下で使用する差込み接続器,ねじ込み接続器,ソケット,ローゼットその他の接続器又は 電圧600V以下で使用するナイフスイッチ,カットアウトスイッチ,スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事

・電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧600以下で使用する蓄 電池の端子に電線(コード,キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。)をねじ止めする工事

・電圧600V以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け,又は取り外す工事

・電鈴,インターホーン,火災感知器,豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次 電圧が36V以下のものに限る。)の二次側の配線工事

・電線を支持する柱,腕木その他これらに類する工作物を設置し,又は変更する工事

・地中電線用の暗渠又は管を設置し,又は変更する工事  

 

専門用語ばかりでわかりにくいですね。簡単に説明すると、工事士の資格がなくてもできる作業、できない作業は以下のようになります。 

・電線(配線用ケーブル)を器具に接続したり、配線を固定することはできない。ただし、 露出型コンセントの交換はできる。   

・ねじ込み接続器,ソケット,ローゼットその他の接続器(コンセントのプラグなど)に電線(コード)を接続することはできる。 また、電線をステープルで固定することなどは資格が無いとできません。ましてや、コードをステープルで壁面等に固定するなんてことは論外です。火災や感電事故につながります。でも、些細なことで「電気工事店」に外注して施工してもらうのもなんだか悔しい気がします。では電気工事士の資格はどうしたらとれるのでしょうか。

 

○免許の種類  

電気工事士として第一種と第二種の2種類の資格があります。第二種電気工事士の資格では一般住宅や店舗などの600V以下で受電する設備の、第一種電気工事士の資格では第二種電気工事士の範囲と500kW未満の需要設備のそれぞれの工事が出来ます。なお、この資格は試験合格だけではなく免状を持っていることが必要です。 第二種電気工事士は、試験に合格すれば取得できます。第一種電気工事士はさらに「実務経験」が必要となります。また、指定養成機関等で免除になる項目もあります。  ちなみに、一般家庭の電気は「一般電気工作物」とよばれ100Vまたは200Vで受電しています。一般電気工作物の工事は第二種電気工事士の資格があれば工事を行うことができます。自分の家の電気配線工事ができるということです。  法律で禁じられている以上、電気の配線の方法までお教えするのもはばかれますが、実際にはホームセンターでも多くの配線用部品や器具を売っており、作業もさほど難しいものではありません。しかし、電柱から電気を引いてきて、分電盤を設置するまで素人ができるはずはありませんから、電気工事は多少お金がかかっても電気業者に頼みましょう。


 
ガス・燃料設備に関する知識

ガス設備も素人には扱えない作業のひとつです。ガス等の燃料を取り扱うための資格としては、液化石油ガス設備士、高圧ガス製造保安責任者、高圧ガス販売主任者などがあります。  とくにLPガス設備等の工事(配管等)を施工するためには、液化石油ガス設備士の取得が必要であり、この資格をもたない者は工事の作業に従事してはならないとされています。  前述の電気工事のように素人でも手をつけられる部分があるのに対し、ガスや燃料設備の取り扱いは危険を伴いますので、絶対にご自分でやろうとは思わないでください。たいていの町には、ガス屋さんがありますので、配管の工事とその後の燃料の補給も含めて一貫して面倒をみてもらえるお店を探しましょう。  なお、聞いた話では、LPガスの値段は一律に決まっておらず、定期的な点検サービス等も含めて店によって値段が違うとのことです。同じ町の中でも複数の業者を比べていざというときにすぐに駆けつけてくれるかどうかなど、業者を選定する際にはよく確かめることをお勧めします。  住宅建設にかかるガス、燃料設備としては、以下のようなものがあります。   

風呂のボイラー 台所の調理台 温給湯設備(ソーラー湯沸しなど)

最近では、ソーラー発電施設による給湯システムもかなり普及してきました。いずれもガス屋さんで扱っていることが多いようですが、調理台などはガスに変わって高圧電力によるグリルも増えており、これらの扱いは電気屋さんになることも多いようです

排水設備に関する知識

住宅内の電気配線工事は、以下に示すように電気工事士でなければできない工事と工事士でなくてもできる工都市部における下水排水は、多くの場合下水道に流されるか、浄化槽によって処理されます。「都市部に」とわざわざ断ったのは、郊外や山間部ではこのふたつの方法によらない方法で下水排水を行はなければならない場合があるからです。本書を読まれる方の中には、別荘として農村部や山間部に家を建てることを計画されている方もおられると考えられます。こうした場所では電気も水も自由にならない場合がありますし、場所によっては敷地外に下水を排水できない場合があります。ここでは、一般的な下水道と浄化槽の知識について述べます。

まず、下水道ですが、汚水を下水道に流すためには各家庭の敷地内に設置された公共桝に排水管を接続させる必要があります。この公共枡の設置は、「下水道設備工事責任者」という資格取得者がいる工事業者が行うことになっており、市町村が指定した工事業者が公共工事として行います。公共事業ですから公共枡までの工事費用は市町村が負担してくれます。公共枡から自宅までの配管は自分で行えますが、公共桝から家庭までの配管は個人負担になります。ここで注意しなければならないのは、現在配管されている公共下水道のほとんどが、雨水を流せない「分流式」となっていることです。分流式の場合、樋等からの雨水は下水道へは流せませんので、別途水路や側溝への接続、雨水浸透桝の設置等が必要となります。また、公共下水道は浄化槽などの設備が不要となる反面、すべての配管に汚物等がそのまま流れます。下水道は水道と違い、人工的な圧力(水圧)をかけることが出来ませんので、詰りやすいことに注意してください。また、汚物等がそのまま流れますので「におい」にも対応した桝が必要です。市町村では定期的に公共枡の「点検・清掃」をしてくれるはずですが、その頻度は自治体によりまちまちです。公共枡の形状や清掃頻度は自治体によく問い合わせましょう。  

次に浄化槽ですが、浄化槽法の改正により、2001年4月から下水道整備計画のない地域で浄化槽を新たに設置する場合、生活排水(し尿と生活雑排水)を公共用水域(側溝、河川、湖沼、海域など)に放流するには合併浄化槽なければいけないことになりました。 浄化槽設備工事を行う業者は、法律によって、浄化槽設備士(国土交通大臣資格)を配置しなければならないことが義務付けられています。有資格者は、施工図の作成から工事の手順・方法まで設備工事全般にわたる指導を行うことになっており、従って浄化槽の設置から指定された排水路までの配管工事は自前で行うことができません。しかし、トイレや台所から浄化槽までの配管は知識があれば無資格でも可能です。配管工事は複雑なものではありませんので、ご自分で試される方も多いと思いますが、いずれにせよ浄化槽工事は自前ではできませんので、工事業者を呼んだときに一緒にやってもらったほうが楽でしょう。とはいえ、一般的知識は持っておけば、何かのトラブルがあったときにも安心です。よくあるトラブルとは浄化槽からの臭いがきつい、水が流れにくい、などです。こうしたトラブルは浄化槽内部の沈殿物に起因することが多いため、どうやって沈殿物を除去するかについては知っておいたほうが良いでしょう。

さて、合併処理浄化槽は、酸素のないところで繁殖する嫌気性微生物や酸素のあるところで繁殖する好空気性微生物に排水中の汚濁物質(有機物)を食べさせて生活排水をきれいにする方式で、それぞれ固有の機能を持つ次のような装置を組み合わせることで、排水を浄化する仕組みになっています。

@ 沈殿分離槽 排水中の固形物を除去したり、排水の流量の変動を緩和する。

A 接触ばっ気槽・嫌気槽 微生物の働きで汚濁物質の変動を緩和する。

B 沈殿槽 汚水を浄化した微生物の塊(汚泥)を沈殿させる。

C 消毒槽 塩素剤を投入して主に大腸菌などの細菌を死滅させる。

 

家庭用の合併処理浄化槽の主な処理方式には、主として好気性微生物を利用した分離接触ばっ気方式、嫌気性・好気性微生物を併用した嫌気ろ床接触ばっ気方式のほか、排水中の窒素を高度に除去できる脱窒3床接触ばっ気方式があります。前2者の合併処理浄化槽の設置費用は80万円から100万円くらいかかります。しかし、自治体の多くで合併処理浄化槽の設置にあたって補助金を出しており、浄化槽の大きさにもよりますが、一般的には5人槽で35万円、6〜7人槽で40万円 8〜10人槽で50万円程度の補助金が出るようです。自治体によっては環境の保全に非常に力を入れているところもあり、設置費用のほとんどを出してくれる場所もありますから、あなたが家を建てる地域の役場に訊ねてみてください。


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